本記事は、「経営発達支援計画の概要(妙高市)」や「第4次妙高市総合計画」、RESASデータを読み込んだ上での仮説をもとに、妙高市の戦い方を整理したものです。
人口構造や産業構成といった定量情報に加え、現場で感じた違和感や視点を重ね合わせながら、地域の可能性をどのように活かすべきかを考えています。
なお、本内容はあくまで私見であり、一つの視点として捉えていただければと思います。
妙高市を「新井」と「妙高高原」に分け、経営戦略とマーケティングの観点から、その勝ち筋を探っていきます。
本記事のポイント
- 妙高市は縮小ではなく戦略転換の局面
- 新井と高原で異なる成長ポテンシャル
- 外貨獲得と関係人口が鍵となる構造
妙高市の外部環境をどう捉えているか
妙高市の戦い方を考えるうえで、まず重要になるのが外部環境の捉え方です。人口減少や市場変化は避けられない前提ですが、そこには同時に新たな可能性も存在します。本章では、私なりの視点で市場環境と違和感、そしてSWOTから見えるポテンシャルを整理します。
(1)妙高市の市場環境の変化
私が妙高市について考えるとき、まず前提に置いているのは「市場構造が変化している」という点です。
人口減少と高齢化は進行しており、地域内需要の在り方も変わりつつあります。
これは各種計画にも明確に示されています 。
一方で、この変化は単なる縮小ではなく、「新しい戦い方が求められている状態」だと私は捉えています。
例えば、地域内だけで完結するのではなく、地域外との接点をどのように作るかという視点です。
これは裏を返せば、妙高市が持つ資源を外部に対してどう届けるかという可能性の話でもあります。
私はこの環境を「制約」ではなく、「戦略転換の余地」として見ています。
(2)私が覚えた違和感
妙高市のある経営者から「自分が好きだからやりたい」と語る状況がありました。
そのとき私は、そこに大きな可能性と同時に、少しの違和感も覚えました。
なぜなら、その想いがあるからこそ価値は生まれる一方で、それをどのように市場(地域特性やターゲット顧客)と結びつけるかによって成果は大きく変わると考えているからです。
このとき私が考えたのは、「想い」と「市場」をどうつなぐかというテーマでした。
マーケティングとは、単に売る技術ではなく、価値を届ける設計です。
地域性や顧客、競争環境を踏まえた設計があって初めて、その想いは広がる可能性を持ちます。
私はこの「想いを価値に変換するプロセス」にこそ、大きな意味があると考えています。

(3)私なりに整理した妙高市の可能性(SWOT)
私の視点で妙高市を整理すると、次のように考えています。
- S:雪や自然など観光資源、宿泊・飲食の集積
- W:人口構造の変化、デジタル活用の余地
- O:インバウンド、関係人口、広域連携
- T:人材確保、競争環境の変化
特に注目しているのは、「強みと機会が明確に存在している」という点です。
また、新潟県全体としてDX推進の方向性が示されていることからも、デジタル活用は今後の大きな成長余地だと考えています 。
この構造を踏まえ、「どう活かすか」という視点で妙高市を見ています。

エリアごとに考える戦略の方向性
妙高市の特徴をより具体的に捉えるためには、エリアごとに分けて考える必要があります。新井と妙高高原では役割も強みも異なります。本章ではそれぞれのポテンシャルを踏まえ、どのような戦略が考えられるのか、方向性として整理していきます。
(1)新井エリアに感じるポテンシャル
新井エリアを見たときに感じるのは、「生活と商業のバランスを持ったエリアである」という点です。
人口規模や立地を考えると、地域の拠点としての役割を持ちながら、広域との接点も持ち得るポジションにあります。
特に「道の駅 あらい」は過去に道の駅ランキング売上高全国1位の実績があり「人を集める力があった」事は新井エリアの大きな強みの一つです。
この点に大きなポテンシャルを感じています。
今後は、リアルの集客に加えて、ECやWebを活用することで商圏を広げる可能性があります。
つまり、新井エリアは「外部とつながる拠点」として再定義できる余地があると考えています。


(2)妙高高原エリアの観光価値の広がり
妙高高原エリアについては、観光地としての特徴が非常に明確です。
宿泊・飲食業の集積や、雪という資源は、全国的に見ても競争力のある要素です。
さらに、今後の開発やインバウンドの動向を踏まえると、外部からの流入は今後も期待できると考えています。
特に重要だと考えているのは、「広域で捉える視点」です。
信濃町や飯山市といった周辺地域と合わせて観光圏として考えることで、より大きな価値を生み出せる可能性があります。
また、グリーンシーズンの活用についても、新たな価値創出の余地があると感じています。
このエリアを「体験価値を高めることで選ばれる地域」として発展する可能性があると考えています。

(3)共通テーマとしての生産性とDX
両エリアに共通して考えているテーマが「生産性」です。
人口構造の変化を前提にすると、限られたリソースの中で成果を最大化する視点が重要になります。
ここで大きな役割を果たすのがDXやAIの活用です。
地方企業においては、デジタル活用の余地が大きいことも指摘されており 、これは裏を返せば成長の伸びしろとも言えます。
私はこの領域において、「売上向上」と「効率化」を両立する可能性があると考えています。

私が妙高市にどう関わっていきたいか
地域の戦略を考えたうえで、次に重要になるのは「自分がどう関わるか」です。本章では、経営戦略・マーケティング・関係人口といった視点をもとに、妙高市の可能性をどう広げていくか、私自身の関わり方の方向性について整理します。
(1)想いを起点にした経営戦略の設計
私は、事業者の「やりたい」という想いそのものは、非常に価値があると考えています。
そのうえで、その想いをどのように市場に届けるかを設計することが重要だと思っています。
誰に、何を、どのように提供するのか。
この基本的な整理を行うことで、想いはより広く届く可能性を持ちます。
私はこのプロセスを、経営戦略とマーケティングの視点から整理していきたいと考えています。

(2)関係人口を起点とした広がり
今後の妙高市を考えたとき、関係人口の存在は重要なテーマになると感じています。
単なる観光ではなく、継続的に関わる人が増えることで、地域の価値は広がっていきます。
二拠点生活やワーケーションといった多様な関わり方が広がる中で、妙高市にもその可能性があると考えています。
私はこの流れを前提に、「また関わりたくなる設計」という視点で地域を捉えています。

(3)外貨獲得と地域内循環の可能性
最終的に私が考えているのは、「外部から価値を取り込み、地域で循環させる構造」です。
新井エリアではECなどを活用した域外顧客との接点、妙高高原エリアではインバウンドによる付加価値の創出。
このような方向性には大きな可能性があると感じています。
そして、その結果として得られた価値が地域内で循環することで、新たな活動や挑戦が生まれていく。
私は妙高市を、そのようなポテンシャルを持つ地域として捉えています。
その実現に向けて、経営戦略とマーケティング、そしてDXという視点をどう組み合わせていくか。
そこに自分が関わる余地があると考えています。
RESASによる「地域経済循環分析」では循環率が96.7%であり、地方では比較的高い数値です。
つまり「自分たちで稼いだお金を、自分たちの街でしっかり使い切ることができている、経済の自立度が高い街」と言えます。

引用:RESAS「地域経済循環分析(2022年)指定地域:新潟県妙高市」
妙高市の可能性を広げる戦略思考と関わり方
妙高市は人口減少という前提の中にありながらも、観光資源や立地といった強みを持ち、外部とつながることで大きな可能性を持つ地域だと考えています。
新井エリアでは域外との接点づくり、妙高高原エリアでは観光価値の最大化という方向性が見えてきます。
そして、その基盤となるのが生産性向上とDXです。
外貨獲得と地域内循環を両立させながら、関係人口を広げていく。
この構造をどう実現していくかが、今後の鍵になると考えます。


