3期連続赤字の地方企業である老舗の和菓子店の事例をもとに、売上低迷の背景を整理していきます。
長年続いてきた強みがあるにもかかわらず、なぜ新規顧客が増えないのか。
その背景には「強みの伝え方」と「課題の捉え方」にズレが生じているケースが多く見られます。
本記事では、現場でよくある状況を踏まえながら、地方企業でも実行可能な改善の方向性を具体的に解説します。
本記事のポイント
- 強みは「ある」だけでなく使い方次第
- 課題は感覚ではなく構造で整理する
- 言語化ができて初めてWeb施策は機能する
老舗の強みは「歴史」ではなく「使い方」で決まる
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老舗企業にとって「長く続いていること」は大きな財産です。しかし、それだけでは売上維持が難しい時代になっています。本章では、歴史ある事業者が陥りやすい思い込みを整理し、「強みをどう活かすか」という視点から、これからの経営の考え方を見直します。
(1)長く続いていること自体が価値ではない
地方の老舗事業者にとって、「創業〇年」は確かに誇るべき歴史です。
しかし、それだけで売上が維持できる時代はすでに終わっています。
重要なのは、その歴史の中で培われた「何が今の顧客に支持されているのか」を正確に捉えることです。
長年通ってくれる常連客や、特定の商品に対する根強いファン。
これらは明確な強みです。
ただし、その強みは自然に広がるものではありません。
顧客の高齢化が進む中で、同じやり方を続けるだけでは確実に先細りしていきます。
(2)「なぜ選ばれているのか」を言語化できているか
多くの中小企業は、自社の強みを感覚で理解しています。
しかし、それを言語化できていないために、新規顧客に伝わっていません。
- なぜその商品が支持されているのか
- どんな場面で選ばれているのか
- 誰にとって価値があるのか
この整理ができて初めて、Webマーケティングが機能します。
逆にここが曖昧なままでは、SNSやホームページを活用しても成果にはつながりません。
(3)感情に向き合うことが経営の起点になる
事例のとある老舗の和菓子店であれば、家族から「(赤字が続くなら)店は閉めてもいい」と言われ、その言葉の裏には複雑な想いがあります。
やさしさでもあり、現実でもあります。
その言葉に揺れたのであれば、それはまだ続けたい理由があるということです。
ただし、その想いだけでは状況は変わりません。
必要なのは、現状を冷静に整理し、次の一手を見極めることです。
経営課題は“感覚”ではなく“構造”で捉える
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売上や利益に関する悩みは多くの事業者に共通していますが、その多くは「なんとなくの理解」で止まっています。本章では、課題を構造的に捉える重要性と、その具体的な整理手法について解説し、打ち手を明確にする考え方を紹介します。
(1)問題は「わかっているつもり」が一番危険
売上が伸びない、利益が出ない、人が足りない。
こうした悩みは多くの事業者に共通しています。
ただし、「なんとなく分かっている状態」で止まっているケースがほとんどです。
- 売上が足りないのか
- 利益率が低いのか
- 顧客数が減っているのか
ここが曖昧なままでは、どれだけ努力しても方向がズレます。
まず必要なのは、課題を構造的に捉えることです。
(2)SWOTで整理すると見えるものが変わる
有効なのが、強み・弱み・機会・脅威で整理する視点が重要になります。
強み(+)・弱み(-)とは内部環境、つまり自社の努力で“変えられること”です。
機会(+)・脅威(-)とは外部環境、つまり自社の努力で“変えられないこと”です。
例えば、地方の和菓子店であれば、
- 強み:地元の固定客、看板商品の存在
- 弱み:新規顧客獲得の仕組みがない
- 機会:健康志向の高まり、桜が有名なイベントで和菓子需要
- 脅威:人口減少、コスト増
このように分解することで、「どこに手を打つべきか」が明確になります。
ここで重要なのは、弱みばかりを見るのではなく、「強みをどう活かすか」という視点です。
(3)打ち手は増やすのではなく、絞る
整理された状態から導かれる施策は、意外とシンプルです。
- 看板商品の価値を言語化する
- 誰に向けた商品かを明確にする
- Webでその価値を発信する
このレベルで十分です。
むしろ、あれこれ手を出す方が失敗します。
多くの企業は「何をやるか」を増やしすぎています。
本来やるべきは、「何をやらないか」を決めることです。
無料診断ツールで“整理の質”を一段引き上げる
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課題整理の重要性は理解していても、実際に一人で行うのは難しいものです。本章では、上越・妙高エリアの中小企業向けに設計された無料診断ツールを紹介し、誰でも簡単に自社の課題を言語化できる方法をお伝えします。
(1)概要:地域特性を踏まえた経営整理ツール
ここまで整理の重要性をお伝えしてきましたが、「自分一人で整理するのは難しい」と感じる方も多いはずです。
そこで、上越・妙高エリアの中小企業向けに、私が経営課題を整理するための簡易的な診断ツールを作成しています。
これは生成AI(ChatGPT)の機能の一つであるGPTを活用したものです。
特徴としては、
- 売上向上、人材不足、Web活用といった地域企業の典型課題に対応
- 上越・妙高の地域特性(人口減少、商圏の狭さなど)を前提に設計
- 実際の経営支援や発信内容をベースにしているため、現実的な視点
つまり単なる一般論ではなく、「上越妙高地域でどうするか」に焦点を当てています。
(2)実際の利用イメージ:答えていくだけで整理される
使い方はシンプルです。
最初に、
- ① 売上を上げたい
- ② 利益を上げたい
- ③ 採用を強化したい
- ④ Webを活用したい
といった選択肢から、自分の関心に近いものを選びます。
その後、
- どんなことで困っているか
- どんな商品やサービスか
- 現在の取り組み
- 理想の状態
といった質問に順番に答えていくだけです。
ポイントは、「正解を出すこと」ではなく「言葉にすること」です。普段頭の中にあるものを外に出すだけで、整理が進みます。

(3)得られる結果:課題と方向性が言語化される
一定のやり取りを行うと、以下のような形で整理結果が出てきます。
例として、架空の和菓子店の場合、以下のような回答結果でした。



ここで重要なのは、「完璧な答えが出ること」ではありません。
自社の状況が言語化され、「次に何を考えるべきか」が見えることです。
その状態になって初めて、施策の精度が上がります。
一度、自社の状況を整理してみると、これまで見えていなかった課題や可能性に気づくはずです。

※会社名や具体的な情報は不要です。一般的な内容でご利用いただけます。
「課題はなんとなく見えてきたが、次に誰に相談すればいいのか分からない」
そう感じた方は、中小企業診断士や公的支援機関の活用方法を整理したこちらの記事も参考にしてみてください。
老舗の価値を未来につなぐ経営整理の第一歩
本記事では、地方の老舗和菓子店を例に、売上低迷の原因を「強みの使い方」と「課題の捉え方」という視点から整理しました。
重要なのは、感覚ではなく言葉で現状を捉えることです。
強みを明確にし、それを誰にどう届けるのかを整理することで、初めて有効な施策が見えてきます。
まずは自社の現状を正しく理解することが、次の一手を見極める出発点になります。



