「うちの強みを活かして経営を伸ばしたい」。
そう考える経営者の方は多いですが、そもそもその「強み」は本当に顧客にとって魅力と感じられているのでしょうか。
自社で当たり前と思っていることが、実は選ばれる理由になっているケースもあります。
本記事では、経営者の思い込みと顧客の評価のズレに気づき、「本当に活かせる強み」を見つけるための考え方と実践方法を、事例を交えてお伝えします。
本記事のポイント
- 経営者と顧客で強みの認識は違う
- 現場の声と数字で強みを再発見
- 強みは体験と発信で価値に変わる
誰の視点で語る「強み」か
「うちの強みを活かして売上を伸ばしたい」――その前に一度立ち止まって考えてみませんか?
経営者の思う“強み”と、顧客が感じている“魅力”が食い違っていることは少なくありません。
本当の価値に気づくことが、戦略の第一歩となります。
(1)経営者の認識と顧客の評価のズレ
上越妙高地域の商工会議所の集まりなど多くの経営者の方から、「自社の強みを活かして売上を伸ばしたい」との声を頂戴します。
しかし、もしかしたらその「強み」は、果たして顧客も同じように魅力と感じてくれているとは限りません。
たとえば「うちは伝統の製法が強みだ」と考えていても、顧客が「季節限定の商品が楽しみ」と感じているのであれば、両者の間にはズレがあります。
このようなズレに気づかないまま進めると、せっかくの経営努力も成果につながりにくくなってしまいます。
(2)当たり前の中にある隠れた価値
自社では当たり前になっていることが、実は顧客にとって特別な価値であることがあります。
たとえば、地域密着のスーパーで「鮮魚の鮮度が良い」のが人気の理由だったのに、経営者は「品揃えの多さがウリ」だと思い込んでいた例があります。
このように、身近すぎて気づかない価値を見つけることが大切です。
(3)認識のズレが招く戦略の空回り
「これがウチの良さだ」と思い込んでいると、顧客が本当に求めているものから離れてしまうことがあります。
結果として、努力がうまく報われず、売上や顧客の満足度が伸び悩むこともあるのです。
本当の「強み」の見つけ方
「強みを活かす」には、まず本当の強みを見極めることが欠かせません。
自信のあることと、実際に選ばれている理由は違うことも。
数字や現場の声を手がかりに、顧客の本音に近づいていきましょう。
(1)自信と評価は別物
「これは自信がある」「うちだけのこだわりだ」と思っている部分と、実際に顧客が喜んでくれているポイントは、必ずしも一致しません。
だからこそ、「なぜこの商品を買ってくれるのか」「何が気に入っているのか」を、しっかりと探ることが大切です。
(2)数字と現場の声から見えるヒント
売れている商品や、リピートが多い商品を分析すると、顧客の好みや傾向が見えてきます。
また、現場で接客しているスタッフの声にも、たくさんのヒントがあります。
こうした声を集めていくと、実際に選ばれている理由が、具体的に浮かび上がってきます。
(3)質問の工夫で深まる理解
「うちの強みって何だと思いますか?」という聞き方だけでは、あいまいな答えしか得られません。
抽象的な質問には抽象的な答え、具体的な質問には具体的な具体的な答えがかえってきます。
「この商品を選んだ理由は?」「〇〇と△△なら、どちらを選びますか?」のように、具体的な質問をしてみることで、よりリアルな声を聞くことができます。
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強みを伝え、活かす仕組みづくり
見つけた「強み」は、きちんと伝わってこそ意味があります。
商品や売場、発信方法にその魅力が表れているかどうかが重要です。
体験として届ける工夫や、はじめての人にも伝わる言葉選びが鍵になります。
(1)魅力を反映させた商品づくりと売場づくり
「季節感のある商品」が顧客に支持されているなら、それをもっと活かした売場づくりや商品企画が考えられます。
たとえば、行事に合わせたパッケージデザインや、期間限定のセット商品など、お客さまの心に響く工夫をすることで、より選ばれやすくなります。
(2)体験として届ける価値の深まり
たとえば、商品ができるまでの過程を見せるイベントや、店頭での試食会など、お客さまに“体験してもらう”工夫はとても効果的です。
味や香り、手作業の様子など、五感に訴える形で伝えることで、ただの「モノ」ではなく「価値のある体験」として記憶に残ります。
(3)初めての人にも伝わる伝え方
既存の顧客に支持されている「良さ」は、新しく来てくれる人にも伝えたいものです。
チラシやホームページ、SNSなどで、誰が見てもわかりやすく魅力を伝えることが大切です。
顧客の声や写真、動画を通して、初めての方にも伝わるように工夫していきましょう。
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強みを“伝わる価値”に変えるために
「強みを活かす」ためには、まず“何が強みか”を正確に捉えることが不可欠です。
経営者の方の思い込みだけで判断せず、顧客の声や実際の売れ筋、現場のスタッフの気づきを丁寧に拾い上げることが重要です。
そして、それを商品づくり・売場づくり・発信方法に反映することで、強みが「伝わり」「選ばれ」「利益を生む」形へとつながっていきます。
ズレを見直し、価値が届く仕組みづくりを目指しましょう。