「3,000人と握手すれば食べていける」~演歌歌手に学ぶ、“売上が続く”関係性づくり~

マーケティング marketing

「売上を伸ばすには、新規客を増やすしかない」──それ以外の手段は本当にないでしょうか?

演歌歌手の「3,000人と握手すれば食べていける」戦略は、事業規模が小さいほど有効です。

広く浅くより、狭く深く。お客様一人ひとりと信頼関係を築くことで、購買頻度、客単価、そして紹介が自然と増え、売上が持続的に伸びていきます。

本記事のポイント

  • 売上は「頻度」で伸ばすのが最も効率的
  • 関係性がLTV・単価・口コミを引き上げる
  • 顧客シェアを高める工夫は小さくていい

売上の構造を“数字”で捉え直す

せのお
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「売上を伸ばすには、もっと新規を増やさなきゃ」──本当にそうでしょうか?今いるお客様との関係性こそが、持続的な売上の源になります。

(1)売上は「客数・単価・頻度」の掛け算

売上を伸ばすにはどうすればよいか?

その問いに向き合う際、まず整理しておきたいのが「売上の構造」です。

売上 = 客数 × 客単価 × 購買頻度

この公式を理解しておくことで、「どこに注力すべきか」が見えてきます。

中小企業や個人事業では、大きな広告費をかけて新規顧客を増やすことには限界があります。単価を大きく上げるのも難しい。

その中で最も現実的かつ効果的なのが、「購買頻度」を高めることです。

(2)顧客生涯価値=LTVという考え方

ここで注目したいのが、LTV(ライフタイムバリュー/顧客生涯価値)という考え方です。

これは「1人のお客様が、生涯を通じて自社にもたらす売上額」を意味します。

LTV = 平均購買単価 × 購買頻度 × 継続年数

この式からもわかるように、頻度と継続年数が上がれば、お客様1人あたりの価値は何倍にもなります

目先の「今月の売上」ではなく、「このお客様が今後どれだけ関わってくれるか」を意識することで、経営の視点がグッと先を見据えたものになります。

(3)今いる顧客との関係こそが“資産”になる

新しいお客様を探す前に、まず注目したいのが「今すでに当社商品を買ってくれているお客様」です。

その人たちが再び、そして何度も来てくれる関係を築ければ、広告費をかけずに売上を伸ばすことができます。

関係性という“無形資産”に投資することは、中小企業にとって非常に理にかなった経営戦略なのです。

「関係性」がもたらす売上の好循環

せのお
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ファンとの深いつながりが、売上を安定的に伸ばす力になります。関係性が頻度・単価・口コミを自然に引き上げるのです。

(1)演歌歌手に学ぶ「ファン重視」の戦略

演歌の世界に、「3,000人と握手すれば食べていける」という有名な戦略があります。

これは、「広く浅く」ではなく、「狭く深く」関係を築く考え方です。

握手会で一人ひとりと丁寧に向き合い、名前を覚え、時には誕生日を祝う──その積み重ねが、CD購入・コンサート参加・口コミといった継続的な応援につながるのです。

この戦略は、事業規模が限られた中小企業にもそのまま応用できます。

(2)関係性がLTV・客単価・頻度を引き上げる

関係性が深まると、以下のような「売上の質」が変わっていきます。

  • 頻度:応援したい気持ちが再購入を後押し
  • 単価:多少高くても「ここで買いたい」
  • 継続年数:数年単位での関係になる
  • LTV(顧客生涯価値)向上:お客様1人あたりの価値が倍増する

価格競争ではなく、“誰から買うか”の選択肢になることが重要です。

(3)好意的な口コミと紹介が自然に広がる

関係性を深めたお客様は、自然と周囲の人にも紹介してくれます。

この「紹介」は、広告と違い非常に信頼性が高く、獲得コストもゼロ。

また、「ここいいよ」と言ってもらえるような体験を生んだ時、SNSやレビューでの好意的な口コミも期待できます。

つまり、関係性づくりは「リピーター化」と「紹介獲得」を同時に実現する、非常に再現性の高いマーケティング戦略なのです。

顧客シェアを高める具体的な方法

せのお
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たくさんの人に一度より、少数の人に何度も。顧客シェアを高める小さな工夫が、継続的な売上と信頼を築いていきます。

(1)「市場シェア」ではなく「顧客シェア」を取る

大企業は「市場で何%のシェアを持つか」を競いますが、私たち中小企業が狙うべきは「一人のお客様の中でどれだけの存在感があるか」です。

つまり、「〇〇を買うなら、あのお店が思い浮かぶ」というポジションを取ること。これを「顧客シェア」と呼びます。

「顧客シェア」を拡大するには顧客が感じている自社の強みを活かす必要があります。

(2)10,000人に1回より、100人に10回買ってもらう

売上というのは、「人数」と「回数」の掛け算です。

もし同じ金額の売上を作るとしても、10,000人に1回買ってもらうより、100人に10回買ってもらうほうが効率的で、継続しやすい

関係性がある分、クレームも少なく、紹介や応援の熱量も高くなります。

(3)関係性づくりは「小さな仕掛け」で十分

深い関係を築くには、大がかりなキャンペーンは不要です。

むしろ、継続的で小さな工夫の積み重ねが効果的です。

たとえば以下のような取り組みが考えられます。

  • 会話の中で名前を呼ぶ
  • 定期的にDMやメッセージを送る
  • 誕生日や記念日に一言を添える
  • おすすめを個別に提案する

こうした“日常的な接点”が、お客様との距離を縮め、購買頻度やロイヤルティ(愛顧心)を高めていくのです。

“狭く深く”が未来の売上をつくる鍵

「もっと売上を伸ばしたい」と思った時、まず見直すべきは“今すでに来てくれているお客様”との関係性です。

深いつながりができれば、購買頻度が増え、単価が上がり、紹介も自然に生まれます。

関係性マーケティングの実践は、派手ではなくとも、確実に未来の売上を支える力になります。

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