土に触れて気づいた、生産者の想い――家庭菜園から見えた農業のリアル

農業 上越妙高 agriculture

家庭菜園とはいえ、実際に土に触れ、苗を植え、日々の変化に一喜一憂する中で、私はようやく「生産者の想い」に少しだけ触れることができました。

野菜はただ収穫されて店に並ぶものではなく、手間と時間、経験と願いが積み重なった尊い営みです。

本記事では、私がサツマイモの栽培を通して感じた学びや気づきを、生産者への敬意とともにお伝えします。

サツマイモ 栽培

今回の記事は本サイトのテーマである“経営“とは直接関係無い内容で大変恐縮ではありますが、お付き合いいただけると幸いです。

本記事のポイント

  • 家庭菜園から見えた生産者の手間と技術
  • 苗選びから収穫までにこめられた想い
  • 体験が地域農業への理解を深めてくれる

なぜ「生産者を知る」ことが大切なのか

せのお
せのお

野菜や果物は、私たちが想像する以上に多くの工程と苦労の上に育まれています。家庭菜園という小さな経験であっても、生産者の日々の営みの一端に触れることで、食べ物の価値や農業の役割がより深く見えてきました。

(1)農作物は“手間の集積”でできている

私たちが日々手にする野菜や果物は、店頭に並んだ瞬間に価値が生まれるわけではありません。

土づくり、品種選び、苗の管理、水やり、施肥、草刈り、病害虫の対処、天候との駆け引きなど、数え切れない工程があります。

それらは生産者の時間や体力、経験、そして「今年も良いものをつくりたい」という思いの積み重ねです。

私自身、家庭菜園ながら芋を育てたことで、この「手間」や「工数」を強く実感しました。(家庭菜園と農業と一緒にするなと怒られそうですが…)

少量の苗でさえ、毎日の見回り、植え付け前の準備、土づくりなど多くの作業が必要です。

これを何百、何千株規模でこなす生産者の日常の重さを思うと、生産現場への理解が深まったと感じています。

サツマイモ 栽培

(2)体験を通すと「感謝」が具体化する

「農家さんは大変」という言葉は知識としては理解できますが、体験しなければ実感は湧きません

例えば畝づくりは鍬を使った重労働で、黒マルチを張るだけでも風にあおられて苦労します。

植え付けの際は一本一本の苗に気を配り、「どうか無事に育ってほしい」と願う気持ちが芽生えます。

葉が弱れば心配し、元気になれば嬉しくなる——こうした感情の変化は実際に作業した人だけが分かるものです。

体験を通じて、漠然としていた農家への感謝が、具体的で厚みのある“本物の感謝”に変わっていきました。

(3)「知る」ことは地域の農業を守る第一歩

農業は地域の文化であり、景観であり、災害を防ぐ役割も担っています。

しかし担い手不足が進む中で、この営みが失われつつある地域も増えています。

生産者の苦労や価値を知ることは、単なる知識の獲得ではなく、「地域をどう守るか」という問いに向き合う第一歩です。

家庭菜園レベルの体験であっても、食べる側が作る側を理解するきっかけになれば、地域農業の未来を少しでも支える力になると感じています。

サツマイモ栽培で見えた“生産者のリアル”

せのお
せのお

サツマイモづくりを通じて見えてきたのは、農業が「計画性」「技術力」「心の揺れ」と深く結びついた世界であるということでした。家庭菜園でも感じたこの“リアル”は、生産者への視点を大きく変えてくれました。

(1)苗選びから始まる“計画性の必要性”

2025年5月、私は「生産者の気持ちに少しでも近づく為に、サツマイモを作ってみたい」という思いから、数種類の苗を購入しました。

しかし、店によっては品切れもあり、タイミングによっては希望の品種が手に入らないこともありました。

家庭菜園でもこうした状況が起きるのですから、プロ農家にとっては苗の確保が収量や販売計画にも直結します。

苗選びの段階からすでに農業は「計画性の問われる仕事」であることを実感しました。

サツマイモ 苗

(2)畝づくりの重労働と技術の奥深さ

芋づくりの核心は畝づくりです。

鍬だけで高さ40cmの畝を整える作業は想像以上に体力を使います。

しかし畝づくりは単なる重労働ではありません。

肥料の混ぜ込み、水分調整、土の硬さ、高さの均一化、黒マルチの張り方など、技術的な要素が数多く含まれています。

品種によって必要な肥料量や水の管理が異なるため、経験に基づく判断が求められます。

生産者はこれを数百、数千株単位で行っているわけですから、農業が「体力勝負」と同時に「技術職」であることを強く感じました

サツマイモ 土

(3)成長・トラブル・収穫…感情が揺れる日々

畑に通うたびに芋の状態は変化します。葉が増えれば嬉しくなり、元気がないと原因を探して落ち込みます。

つる返しの時期には根の伸び方や芋の肥大を心配し、試し掘りでは一喜一憂します。

収穫期にはセンチュウ被害で芋がボコボコになっているものもあり、思わず落胆しました。

しかし同時に、「農家さんは毎年こうした不確実性と向き合っているのだ」と気づきました。

家庭菜園でも心が揺れるのですから、生産者の精神的な負担は計り知れないものがあります。

サツマイモ 試し掘り
サツマイモ センチュウ

家庭菜園だからこそ届く“生産者への理解”

せのお
せのお

わずかな畑であっても、自分で育てることで見えてくる景色があります。肥料の選び方、収穫時の喜びや落胆。これらの体験は、生産者の視点に少し近づくための貴重な学びとなりました。

(1)たった数千円の肥料に込められた“知恵”

鶏ふん、牛ふん、苦土炭カル、油かすなど、芋を育てるために用意した肥料は約2,800円でした。(妻の伯母から分けてもらい、芋に使用した分のみを費用として考えています)

生産者はこれらを畑の状態や天候、品種に合わせて最適に配合します。

肥料一つ変えるだけで味も収穫量も変わるため、“経験の蓄積”が不可欠です。

家庭菜園での小さな気づきを通じて、生産者の知恵と技術への尊敬がより深まりました。

サツマイモ 肥料

(2)収支だけでは語れない「価値」がある

作業時間は約640時間、費用は約2,800円という結果でした。

数字だけ見れば効率的ではありませんが、この中にはたくさんの学びと感動があります。

当初は「仮に直売所で販売したらいくら?」という売上から利益を考える予定でしたが、売り物にはならいと思われる為やめました。

原因はおそらくセンチュウにやられた、もしくは掘り起こしの時期が遅すぎたと考えられます。

農業は収支だけで評価できるものではなく、そこには生産者の苦労や愛情、誇りといった目に見えない価値が強く宿っています

家庭菜園を通じて、その価値をほんの少しだけ理解できたように思います。

(3)生産者を知ることで地域の未来に貢献できる

生産の現場を知ったことで、地元の農産物への見方が変わりました。

地域の野菜を選ぶ意味や、畑が残る重要性が以前よりも深く感じられるようになりました。

家庭菜園は小さな取り組みですが、生産者への理解を広げる一つの手段です。

こうした気づきが広がれば、地域農業の持続可能性を高める力になると感じています。

私自身、この経験を通して「生産者の気持ちを理解し、共有すること」が地域の未来に貢献する行動だと確信しています。

家庭菜園の体験が、生産者理解への入り口になる

家庭菜園を始めたことで、私は農作物の裏側にある膨大な手間や経験、そして生産者の思いに触れることができました。

単に「育ててみた」という小さな挑戦でも、生産の現場を理解する確かな一歩になります。

地域の野菜を選ぶ理由や農地が残る価値を考える視点が育ち、地域農業を支える意識につながりました。

これからも土と向き合いながら、生産者への敬意を忘れずに学びを深めていきたいと思います。

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